2017.07.26 |
USB Type-Cの特徴と比較
そして従来のUSBを振り返る
MacBookに搭載され話題になったUSB Type-C。
最近ではTouch Bar搭載のMacBook Proやカメラ、スマホにも採用されています。
今回はUSB Type-Cのまとめと、従来のUSBとの比較をしてみたいと思います。
USB Type-Cとは
USB3.1から新しく採用されたコネクタ規格です。
- コネクタのサイズが小さい
- 裏表がないのでどちらでも挿せる
- オルタネートモード(DisplayPort出力、HDMI出力、Thunderbolt3、MHL)をサポート
- USB Power Deliveryをサポート
等の特徴があります。
従来のUSBは、Aコネクタがホスト側でBコネクタがデバイス側と決まりがありましたが、Type-Cではホスト側もデバイス側もType-Cコネクタを使用できるようになりました。
紛らわしいですが、Type-Cとは「USB2.0」や「USB3.0」などの通信規格とは別で、コネクタの形状のことを指します。
つまりType-Cを採用しているからといって「USB3.1」、「オルタネートモード」、「USB Power Delivery」に対応しているとは限りません。
「USB2.0」にしか対応していないType-C搭載製品やケーブルもあります。
USB Type-Cの特徴
Type-Cの特徴を一つずつみていきましょう。
Point.1 リーバシブルでコンパクトな形状
大きさは横が8.34mmで縦が2.4mmとmicro-Bとほぼ同じ大きさです。
・左:Type-C 右:Micro-B
表裏のないリバーシブルな形状になったので、今まで面倒だった「上下の向きを確認して挿す」という手間が省けますね。
・USB Type-Cコネクタの形状。表裏がない。
Point.2 オルタネートモード
USB Type-Cはオルタネートモードに対応しています。
オルタネートモードとは、DisplayPortやHDMIなどの映像出力、Thunderbolt3、MHLなどUSB以外のデータを送受信できる機能のことです。
今までそれぞれのケーブルが必要だったのが、Type-Cケーブル一本にまとめることができるようになります。
Point.3 USB PD
USB PDとは「USB Power Delivery」の略です。
USB2.0では2.5W、USB3.0では4.5Wまでしか電力供給できなかったものが、USB PD対応のUSB Type-Cケーブルなら最大100Wの電力が供給できるようになりました。
また、双方向給電ができるのでPCからディスプレイに給電出来るだけでなく、逆にディスプレイからPCに給電することもできるのです。
コネクタ形状とUSBの通信規格
比較の前にUSBのコネクタが多すぎるので、一度まとめてみたいと思います。
USB2.0 Aコネクタ
まずはおなじみのAコネクタ。
通常ホスト側に接続するものです。一番よく見るものですね。
USB3.0 Aコネクタ
上と同じAコネクタですが、こちらはUSB3.0です。
形状は同じですが、端子が青いのでわかりやすいと思います。
USB2.0 Bコネクタ
次にBコネクタ。
Bはデバイス側に接続するもので、通常のBコネクタはプリンターやプロジェクターなどについていることが多いです。
USB3.0 Bコネクタ
こちらはUSB3.0のBコネクタ。
形状がUSB2.0の物とは少し違います。こちらも端子が青いのでわかりやすいですね。
外付けのHDDなどに使われています。
miniBコネクタ
maicroBと混同されやすいやつです。
デジカメやゲーム機に搭載されています。
USB3.0なminiBはないようです。
USB2.0 maicroBコネクタ
こちらも見る機会が多いと思います。
スマホやタブレットなど多く使用されています。
Type-Cの登場で今後は減って行くかもしれません。
USB3.0 microBコネクタ
変わった形なので覚えやすいです。
もはや、コネクタの大きさはマイクロではありません。
こちらの写真はデジタル一眼のD500に付属していたものです。
デジカメに使われているのでしょうか?
Type-Cコネクタ
そしてType-Cコネクタ。
コンパクトでリバーシブルなデザインは、今までのUSBはなんだったのかと思わせてくれます。
写真はGoPro HERO5付属のもので、先日入荷したGH5もType-Cが搭載されていました。
これからどんどん搭載製品が増えていくでしょう。
USBの通信規格・給電能力
USBの転送速度と給電能力を以下の図にまとめました。
給電能力に関してはUSBの規格とは別に「給電規格」のようなものがあるようで、非常にややこしい状態です。間違いがあったらすみません。
USB規格名 | 仕様発表 | データ転送速度(最大) | 供給電圧 | 供給電流 |
---|---|---|---|---|
USB1.1 | 1998年 | 12Mbps | 0.5A | 5V |
USB2.0 | 2000年 | 480Mbps | 0.5A | 5V |
USB3.1 Gen1 (USB3.0) | 2008年 | 5Gbps | 0.9A | 5V |
USB3.1 Gen2 | 2013年 | 10Gbps | 0.9A | 5V |
給電規格 | – | – | ||
USB Battery Charging 1.2 | – | – | 最大1.5A | 5V |
USB Type-C (C to C接続時) |
– | – | 1.5/3A | 5V |
USB Power Delivery | – | – | 最大5A | 最大20V |
USB通信規格と給電規格が組み合わさるので、かなり複雑になっています。
USB Power Deliveryに対応したType-CケーブルでもUSB2.0 とUSB3.0があるといった感じです。
まとめ
電力供給からデータ転送、映像出力までType-Cケーブル一本にまとめることができるという夢のようなケーブル。
将来的にType-Cケーブルが普及するのは間違いないでしょう。
しかし、今現在Type-Cに対応した製品があまりないというのが現状です。
Touch Bar搭載のMacBook Pro等はUSB Type-Cコネクタしか搭載していないので、従来のUSB製品を使う場合は、変換アダプタが必要になります。
また、前述したようにType-Cケーブル・アダプタでもUSB2.0にしか対応していない物とUSB3.0対応の物、オルタネートモードやUSB PDに対応していない製品もあります。
規格外(56kΩの抵抗を使うところ10kΩの抵抗を使用しているなど、破損の危険がある。)のType-Cケーブルやアダプタも多く出回っているようなので、注意が必要です。
そしてこれ以上USBの規格が増えないことを願います。