2017.09.20 |
スマホがサーモカメラに!FLIR ONE for iOSの使用方法と解説
今回はFLIR ONE for iOSと解析アプリのFLIR TOOLSについて書きたいと思います。
FLIR ONE for iOSはiOS用の赤外線カメラです。
iPhoneやiPadがあればどこでも簡単に使用できます。
はじめにこのカメラはどんな構造・仕組みで熱画像を撮影するのか書いていきます。
まず上の画像が本体となります。
本体を見るとカメラが2つ付いています。
これは赤外線画像と可視画像を同時に撮影し、赤外線画像の解像度をあげる仕組みになっているからです。
余談ですがこれをスーパーファインコントラスト(MSX)テクノロジーと呼ぶようです。
カメラを使うにはアプリが必須
このカメラを使う際には下記iOSアプリが必要になります。
FLIR ONE
このアプリは必須です。カメラの設定から何からできます。
まずは入れてください。
つづいて・・・
FLIR TOOLs (iOS)
このアプリを使うことによって撮影した熱画像の解析ができます。
充実のオンラインマニュアルもあるので赤外線画像をいろいろ使いたい方はDLしましょう。iOSアプリとWin・Mac用のソフトウェアがあります。
あとでアプリについて説明します。
スペック
スペックについて書いていきます。
温度範囲は-20℃〜120℃までになります。
スポットメーターが画面中にあり、非接触で計測したい場所に合わせたら温度測定ができます。
写真撮影自体はスマートフォンやタブレットと同じ感覚でできます。
動画も端末側を動画撮影に変更すれば自分の端末のライブラリに録画されます。
アプリの中にもFLIRライブラリというフォルダがあり、その中に撮影した赤外線画像だけが保存されます。
では実際にスマートフォンに取り付けてみます。
このように取り付けたらFLIR ONEアプリを起動します。
早速熱画像が現れてきました。
上の画像の歯車の位置からカメラの設定が変更できます。
ここからキャリブレーションなどカメラの設定を変更できます。
真ん中の温度計のマークがスポットメーターのオン・オフになります。タップで変更できます。
基本的には端末側のカメラによりますのでもちろん動画撮影も可能です。
iOS端末のビデオ・写真・パノラマ・タイムラプスと全ての機能が使えます。
ご覧のとおり端末のカメラ設定を変更するだけで簡単に動画撮影が可能です。
特に使えそうなのがタイムラプス機能で、物質の温度が変化していく様子を撮影できます。
部屋の暖房が本当に効いているのか等・・・
FLIRアプリの中でタイムラプスを選択するとタイムラプスの詳細設定ができます。
- 初期遅延は0秒から59分まで。
- フレーム間隔は1秒から59分まで。
- 再生速度は1fpsから30fps。
あとは撮影間隔のタイムカードを表示する・しないの設定となります。
FLIR TOOLsについて
さてここで先に紹介したアプリ「FLIR TOOLs」を実際に使ってみたいと思います。
まずはアプリをインストールしたらこんな画面が出てきます。
左上の赤丸を選択するとこのアプリに取り込む画像が選択できます。
今回は端末のカメラフォルダを選択しました。
インポートされた画像を選択すると次の画面へいきます。
ここで解析したい画像を選択します。
画像を選択したらいよいよ解析の開始です。
画像の下の方に色々なマークがあります。
ざっと何をするためのものか説明します。
- 撮影日時や画像サイズに加えて放射率や相対湿度などの赤外線情報に加えてGPSをONにしていれば経緯経度も表示されます。
- タップで可視画像に切り替わります。
- この画像の共有にとびます。Emailに添付したり、編集した解析画像をライブラリに保存できます。
- ここでレポートが作成できます。何個かテンプレートがあり熱画像とその解析データが印字されます。
- 撮影画像にGPS座標が埋め込まれている場合に撮影した場所がマップに表示されます。(世界地図)
- ゴミ箱。削除したいときはここ。
解析
つづいて、FLIR ONEで撮影した画像を元にどのような解析ができるのかをみていきましょう。
まずは最初の画面の緑の丸の編集をタップします。
続いて編集画面へ移行します。
上記が熱動画の編集ページになります。
また画面下に色々あります。
1個ずつ説明していきましょう。
- 最初のページと同じようにこの画像の撮影情報及び熱画像の情報。
- 画像モードが変更できます。種類が5種類あり、
- 赤外線MSXモード:エッジを強調した可視+熱画像
- 赤外線モード:完全に赤外線のみの画像。
- フュージョンモード:度制限により部分的に赤外線になっているデジタル画像。
- PinPモード:可視画像の上(真ん中)に赤外線画像がのっているモード。
- デジカメモード:完全な可視画像。
色々選べます。
- スポットメーターの表示。
これは、FLIR ONEでは1箇所しか設定できませんでしたがこのアプリだと8個設定できます。
このスポットメーターは任意の場所に移動できます。
温度設定したい場所に設定すれば温度がわかります。(下画像)
- スポットボックスの表示。
画面をタップすることによりボックスを表示できます。
ボックスの大きさはピンチで大きくしたり小さくしたりすることができます。
このボックスは囲んだ範囲の最高温度・最低温度・平均温度を表示できます。
これもスライドで任意の場所に設置できます。
最大8個まで表示可能です。(下画像)
全て表示したらちょっと見にくい画像になってしまいましたがあくまでサンプル画像としてご確認ください・・・
- スポットサークルの表示。
これも4と同じようにサークル上のスポットメーターが表示できます。
場所も大きさも任意に設定でき、最大8個まで表示できます。(下画像)
こんな感じです。
とりあえず最大数表示してみました。 - ラインツールの表示。
ここまでくればなんとなく分かると思いますが画像にラインを引けます。
このライン上にある最高温度・最低温度・平均温度が測定できます。
これも同じように8個表示できます。(下画像)
これもスライドで任意の場所に移動できます。
測定方法だけでも色々ありますね。
測定する場所・物によって使い分けができます。 - カラーパレットの変更。
熱画像のカラーパターンが変更できます。
10種類の中からカラーパターンが選択できます。
画像の右側になにやら色のパラメーターがあると思いますが、このメーターで最高温度・最低温度の色分けができます。
このメーターとカラーパレットを組み合わせることにより、より細かく熱画像の解析が可能となります。画像の最高温度と最低温度が表示されます。
右のカラーバーを上下すれば最高温度と最低温度が連動して動かせます。
逆に最高温度だけ、最低温度だけ数値を変更することもできます。
温度の数字をタップすれば上の図のように鍵マークが出て数値をロックすることもできます。
☆編集の画面をタップすることにより実に様々な解析ができます。
以上が、「FLIR TOOLs」の説明になります。
まとめ
ざっとFLIR ONEでできることを書いていきましたが、ここで注意点や使い方について触れていきます。
FLIR ONEはいつも手元に持っているスマートフォンで手軽に赤外線画像を見ることができます。
そのため建物の欠陥(水漏れ・隙間風)などを手早く発見できます。
自宅のお風呂の温度も測れます。
アウトドアに持ち出せば夜間の野生生物の観測などにも使えます。
軽いしスマホに取り付けるだけで簡単に使えます。
専用のアプリもあり簡単に熱画像を撮影したいという方にうってつけです。
逆に注意点もあります。
- ※撮影中の左上に出ているメーカーのロゴは消せない。
- ※FLIR TOOLsで解析できるのは静止画(熱画像)の解析のみ。
- ※1時間しか使えない。(外に撮影しに行ったら結構短く感じます)
- ※iOS端末でしか使えない。(アンドロイド版は弊社では取り扱いなし)
スペックのおさらい。
- 熱画像解像度:160x120Pix
- 可視画像解像度:640x480Pix
- 測定温度範囲:-20℃〜120℃
- バッテリー稼働時間:1時間
Appendix
先日、第三世代のFLIR ONEが登場しました。
レンタルのご利用はこちらも合わせてご検討ください。
FLIR ONE for iOS Personal Thermal Imager